84年から87年にかけて「ヤングマガジン」に掲載された小林じんこの初連載作品。
見知らぬ女の子を助けて、お尻に14針もの傷を負った辰吉。それから2年後、その女の子・もえが辰吉の同級生となって現れて…。運命の恋を時にドタバタと、時にロマンチックに描く、少女マンガもかくやの傑作ラブコメディ。
青年誌掲載ながら、後半はもえがほとんど主人公に。ケモノじみた生理時のいらいらや、親切にはっきり表明してやりたくなんか絶対ない恋愛のむかつきを、ここまで詳細に描いているマンガは少ないはず!と、いっても、かなり前衛的・比ゆ的な表現が駆使されてます。男子はこれ、読んでいてわかったのかな…と不安になるくらい。もやもやしたことがあると、なんとなく手にとってしまうマンガのひとつなのですが、女子こそこれを読んでほしい。わかってほしいことが全部あるから!辰吉くんて、ほんと王子さまだと思います。
タイトルはもちろんRCサクセションの『雨上がりの夜空に』から。フェリックスの時計のあるもえちゃんの部屋など、生活臭あふれる80年代フレーバーがいたるところにみてとれるのも楽しい。背景や脇のキャラだけを読むとまたアナザーストーリーが見えてきたりも。
ちょっとおもしろいのは描線のタッチ。強弱のない線は、80年代のヤンマガといえば、の望月峯太郎の『バタ足金魚』を彷彿とさせるのですが、『バタ金』の連載開始は85年。小林じんこのほうがちょっと先なんですね。となると小林じんこを経由して陸奥A子ら乙女ちっく少女マンガの線が青年誌に「輸出」されたのかも…なんて、妄想してみたくなります。
このマンガにも色々版がありわたしがもっているのは、オリジナルの「ヤンマガKCスペシャル」全五巻バージョン。下のはオンデマンド版。貼り付けといてなんだけど、オンデマンドのやつ、結構高いんだなあ。しかも在庫切れだ!オンデマンドなのに…。小林じんこのマンガが新品で本屋さんで買えないなんて、ちょっとさびしい。